1. 文書の分野で選ぶ
翻訳会社にはそれぞれ得意な分野があります。契約書なら法務、取扱説明書なら技術、治験資料なら医薬というように、文書の分野に慣れた翻訳者がいるかが品質を大きく左右します。公式サイトの「対応分野」「実績」のページで、依頼したい文書に近いものがあるかを確認しましょう。
- 契約書・法務 … 契約書・規約・定款・登記書類・訴訟資料など。
- 特許・知財 … 特許明細書・出願書類・拒絶理由通知・先行技術文献など。
- 技術・マニュアル … 取扱説明書・仕様書・図面・安全規格文書・工場の作業手順書など。
- 医薬・医療機器 … 治験関連文書・承認申請資料・添付文書・医療機器の取扱説明書・論文など。
- IT・ローカライズ … ソフトウェアの画面文言・ヘルプ・アプリ・ゲーム・Web サービスの多言語化。
- マーケ・Web・広告 … Web サイト・広告コピー・パンフレット・プレスリリース・SNS など。
- 金融・IR・開示 … 決算短信・有価証券報告書・統合報告書・株主総会招集通知・会計資料など。
- 論文・学術 … 学術論文・抄録・研究助成の申請書など。
2. 言語と訳す方向を確認する
「英語対応」でも、日本語→英語と英語→日本語で担当者や料金が違うことがあります。英語以外の言語では、日本語から直接訳すのか、英語を介して訳すのか(ピボット翻訳)も確認しておくと安心です。多言語の同時展開では、言語ごとの納期と用語集の共有方法を事前に決めておきます。
3. チェック体制と ISO 17100
翻訳の誤りを減らすには、翻訳者とは別の人が原文と突き合わせて確認する工程が重要です。翻訳サービスの国際規格 ISO 17100 はこの工程を求めており、認証の有無は客観的な目安になります。ただし認証がなくても同様のチェックをしている会社はあります。見積りの際に「誰が・どの工程でチェックするか」を確認しましょう。
契約書・未公開の製品情報・個人情報を含む文書を預ける場合は、秘密保持契約(NDA)の締結、ISO 27001 やプライバシーマークなど情報管理の体制も確認しておきます。
4. 見積りで確認すること
翻訳料金は原文の分量×単価で計算されるのが一般的です。各社が公式に掲載している料金も参考になりますが、正式な金額は原稿を渡しての見積りで決まります。
- 単位 … 日本語の原文は「文字」、英語などの原文は「ワード」で数えることが多い
- 最低料金 … 短い文書でも一定の金額がかかる場合がある
- 専門分野の加算 … 医薬・特許・法務などは単価が上がることがある
- オプション … ネイティブチェック・DTP(レイアウト)・翻訳証明書・特急対応は別料金か
- 繰り返しの割引 … 過去の訳文の再利用(翻訳メモリ)で料金が下がるか
- 修正の範囲 … 納品後の質問・修正にどこまで対応するか
5. 機械翻訳+ポストエディット(MTPE)
MTPE は、機械翻訳の結果を翻訳者が修正して仕上げる方法です。社内資料や大量のマニュアルなど、スピードと費用を優先したい文書で使われます。一方、広告コピーや契約書の重要な条項など、表現や解釈が結果を左右する文書では、人による翻訳を選ぶのが一般的です。どの文書に使えるかは、翻訳会社に相談して決めるのが確実です。
6. 依頼から納品までの流れ
- 原稿(または一部)と、用途・納期・訳す方向・希望する品質を伝えて見積りを依頼
- 見積り・納期・チェック体制を確認して発注(必要なら NDA を締結)
- 用語集・過去の訳文・参考資料があれば共有
- 翻訳・チェック・(必要なら)DTP
- 納品後に社内で確認し、質問や修正を依頼
7. 依頼前のチェックリスト
- 翻訳する文書の分野・用途(社内用/社外公開/当局提出)を整理した
- 訳す方向(日本語→外国語/外国語→日本語)と言語を決めた
- 原稿の分量(文字数・ワード数)とファイル形式を確認した
- 納期と、途中で確認が必要な人を決めた
- 用語集・過去の訳文・社内の表記ルールを用意した
- 機密情報の扱い(NDA・情報管理の体制)を確認した
- 2〜3 社から同じ条件で見積りを取った